2004年11月07日
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東京ステーションギャラリー・没後50年 佐藤哲三展

Written By: 川俣 晶連絡先

 今日は、東京ステーションギャラリーの「没後50年 佐藤哲三展」に行ってきました。

東京駅にこんな場所が §

 東京駅は歴史的な建築物であって、本来なら興味の対象になり得るはずです。

 しかし、何度も行ったことがあったためか、何となく軽んじている面がありました。そして、もう1つ、本当に味のある部分は普段立ち入ることができない場所となっていたという問題もあります。

 東京ステーションギャラリーというのは、その立ち入れなかった領域を使って開設されたものであって、実際に行ってみると、こんなにも東京駅は面白い建物であったのか、と思い知らされました。

 行ってみて良かったと思います。

東京ステーションギャラリー東京ステーションギャラリー [300x225] [600x450] [750x562] [1000x750] [1632x1224]

佐藤哲三について §

 佐藤哲三という画家のことは何も知りません。

 知らない画家の展覧会に行くのかと言われそうですが、その通りです。むしろ、知らないからこそ行くのだと言えます。少なくとも、このような展覧会では、行けば何も知らない人も分かるような解説が行われていますから、むしろ知らない方が全てを楽しめると言えるかも知れません。

狭くなく大胆 §

 狭い美術館だと主張しているようですが、思ったよりも広いですね。

 そして、展示内容はかなり大胆だと感じました。

 何せ、さほど美術的な価値があるとは思えない子供時代の絵からずらっと並びます。

 しかし、こういう並べ方は、どこで才能が開花し、どこに転換点があるかが良く分かるので興味深く大胆ですね。

光を色彩で表現する §

 特に中期の作品に言えることですが、光の描写が上手いですね。光とそれによって生じる影を、色彩を通して上手く表現しています。これは、私が模型の塗り方を通じて見出した色の使い方と相通じるものがあるので、良さがひしひしと実感されます。

 それと同時に、これが日本人に向かないことも実感されます。日本の伝統的なビジュアル受容は、立体ではなく平面(スーパーフラット)的であるという意見がありますが、光を効果的に使って立体感を見せることは、そのような図式から外れます。

 かといって、西洋絵画とは明らかに異質の日本的な色遣いが見られ、その点でも特異的だという印象を受けました。

 しかし、こういうスタイルはけっこう好感を感じます。

子供 §

 田舎に引っ込んだあと、そこで子供達に絵を教え、子供達が描いた絵も展示されていました。これも、間接的な佐藤哲三の作品と言えるのでしょう。印象的なのは、子供達と一緒に撮影した写真で、とても子供達が嬉しそうなことです。単に絵を描けば良い、ということではなく、人を見ている視線があることは、佐藤哲三の人物としての大きさ、的確さでしょうか。

 そして、子供の描いた絵も並べたギャラリー側のセンスも見事だと思います。

コーヒー §

 東京ステーションギャラリーには喫茶店カフェブリックがあります。

 実に味のある良い建物の中ですから、ぜひ立ち寄ってコーヒーを飲もうと思っていました。

 というわけで、入ってみましたが、ともかく暑くなって汗ばむ程だったので、アイスコーヒーを注文。小さめのグラスに氷もたくさん入っていて、量は少なめ。しかし、なかなか美味しいコーヒーでした。

 壁もレンガで居心地も良いですね。

 繰り返し行っても良いと思えましたが、何せギャラリー内ですから、入場料を払わねばなりません。コーヒーだけを目当てに行ける場所ではありませんね。